作業療法士って将来性あるの?
こんなお悩みを解説する記事となっています。
作業療法士の将来性について、一生働けるのか、お給料は上がっていくのかなど多くの悩みがありますよね。僕も作業療法士として働いていて、このまま作業療法士で食べていけるのか悩んだ時期があります。
本記事を訪れてくれたあなたは作業療法士になろうとしている学生か現役で働いている作業療法士だと思います。
今回は、現役で働いている作業療法士向けの記事となっていますが、将来を考えている学生にも参考になると思います。
結論としましては、「将来性はあるが、個人の市場価値を高める必要がある」ということになります。
作業療法士の僕が作業療法士の将来性について、データも取り入れながらわかりやすく解説します。
作業療法士の将来性について

先ほど冒頭で触れましたが、作業療法士の将来性があるかという問いに対しての結論は
「将来性はあるが、個人の市場価値を高める必要がある」
です。
ここでいう将来性とは、作業療法士として働き続けられるかどうかです。
あたり前ですが、作業療法士として働き続けるには作業療法士の需要がなければいけません。
需要の面では、日本は高齢化社会なので、脳卒中などの疾患はもちろん認知症の増加も予測されることから職業的に仕事がなくなることはないでしょう。
厚労省の平成31年に公表されているデータでも、現時点では需要数が供給数を上回っています。
しかし、2040年ごろには供給数が需要数を上回ると予測されています。
供給数と需要数を知るために、作業療法士の人数と高齢化社会の実情について把握しておきましょう。
作業療法士の実情を把握しよう
厚労省の平成31年のデータによると、作業療法士従事者数は平成23年47,749名に対し平成26年には57,500名と増加傾向にあります。
作業療法士の人数は、年々増え続けているようです。
高齢化社会であることから、将来性を感じて作業療法士になる方が多いと予測されます。
作業療法士の比較として理学療法士がよく使われます。
理学療法士は飽和状態と言われていますが作業療法士はまだ需要があると言われています。
需要がある理由としては、作業療法士は理学療法士に比べて精神分野も扱っており、働く場所や活躍できる場所が幅広いことなどが挙げられます。
高齢化社会の実状を把握しよう
高齢化社会について内閣府のデータを載せておきます。
我が国の総人口は、平成29(2017)年10月1日現在、1億2,671万人となっている。65歳以上人口は、3,515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も27.7%となった。
引用元:内閣府|高齢化の状況より一部引用
要するに、3人に1人が高齢者ということになりますね。
65歳以上人口と15~64歳人口の比率をみてみると、1950年には1人の65歳以上の者に対して12.1人の現役世代(15~64歳の者)がいたのに対して、2015年には65歳以上の者1人に対して現役世代2.3人になっている。
今後、高齢化率は上昇し、現役世代の割合は低下し、2065年には、65歳以上の者1人に対して1.3人の現役世代という比率になる。引用元:内閣府|高齢化の状況より一部引用
つまり、現役世代10人以上で昔は高齢者1人を支えていたけど、現状は現役世代2〜3人で高齢者1人を支えないといけないくなっているという状況です。
作業療法士の将来の活動場所

急性期ではDPC、回復期では在院日数が決まっているので中途半端な状態でサービス調整をして帰宅させてしまうことを経験したことがあるのではないでしょうか。
今後も、ますます似たような状況が増えていくと思います。
将来的には、在宅でのリハビリの需要や在宅で見切れなくなった先として老人ホームや老健での作業療法士の需要が増加していくと考えられます。
特に訪問リハビリはインセンティブ制度があり、頑張った分だけ報酬として返ってくるので人気です。
しかし、2040年ごろには供給数が需要数を1.5倍上回るので、作業療法士1本でやるには個人の市場価値がないと将来ずっと働き続けるのは息苦しいかもしれません。
作業療法士としての市場価値とは
市場価値について説明します。
市場価値とは、
個々の会社員について、仕事の内容、能力、本人の性格特性などから、現在の人材市場での年収相場はいくらかを示したもの。
引用:Weblio辞書より引用
のことです。
簡単に言えば、あなたの評価です。
あなたの能力が総合判断された時に算出された年収相場なので、実際にもらっている年収より高いこともあるし、低いこともあります。
低い場合は、もっと頑張ろうね。ってことです。
この市場価値が低いと将来作業療法士一本で働き続けるのは大変だと思います。
たとえば、作業療法士の中だけで将来の市場価値を上げることを考えると資格が挙げられます。
- 認定作業療法士
- 専門作業療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
などが挙げられますかね。
専門家としてのスキルをさらに伸ばすという感じです。
他の作業療法士がめんどくさがって取らない資格を取得することであなたの価値は上がります。
この中で最速で取れるのは、3学会合同の呼吸療法認定士です。
呼吸療法認定士は受験するのに経験年数の縛りがありますが、1年に1回試験があるのですぐ取れます。
僕は3学会合同の呼吸療法認定士を持っていて、転職する時に役に立ちました。
作業療法士で呼吸療法認定士を持っていると稀少性がまだあるので取得するといいことがあるかもです。
あなたがすごいなと思う人もきっと肩書きがある人だと思います。
そういう人にならなければ、作業療法士1本で将来安心ということは難しいのではないでしょうか。
一方で、年々作業療法士の人数も増えていることから、あなた自身の市場価値を見いだせていないなら、将来のためにも早めに行動することをおすすめします。
たとえば、
- 条件の良い職場へ移動する
- 専門作業療法士など何かしらの資格を取る
- 学会発表をする
などです。
このように市場価値を高めることができれば、あなたの作業療法士としての将来性はあると言えます。
市場価値についての考えを知りたい場合は下記の本がおすすめです。
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人生100年時代から見た作業療法士の将来性
医療の発展により、平均寿命が伸びてきており人生100年時代とも言われるようになりました。
平均寿命の増加とともに、定年の年齢も引き上げられることが予測されます。
定年が引き伸ばされるとどうなるか。
70歳になっても作業療法士として頑張らなければいけません。
一生病院勤務するのであれば役職についている可能性もありますが、リハビリ業界は看護師と違い人数が少ないです。
そのため、いつまで経っても役職が空かないなんてこともあります。
そして、経験年数が上昇するにつれ、後輩育成やリハビリテーション科の管理などで肉体労働の割合は減っていくとは思いますが完全には無くならないでしょう。
70歳になっての肉体労働はかなりハードなことが想像できます。
年齢別の作業療法士・理学療法士の割合を載せておきます。
年齢別の作業療法士・理学療法士の割合

この表を見ると51〜70歳まで理学療法士・作業療法士として働いている割合は総数に対して5%以下となっており、若い世代に年齢構成が集中しています。
50歳以上で5%以下というのは驚きです。
やはり、歳をとるとハードなことが伺えますね。
逆に言えば、個人の市場価値を高めポジションを取れれば、トップ数%になれるので将来性はあると考えることもできます。
人生100年時代に突入し、将来のために働き方を考えていく必要がある時代になりました。
僕自身作業療法士ではありますが、作業療法士はわりと外の情報に弱く内弁慶的な要素が強いと感じています。
本記事を訪れてくれたあなたは、あなた自身の将来に不安を感じ情報を取りに来ている行動力のある人だと思います。
今後の将来性として、作業療法士の需要はあるが個人の市場価値が求められていくということよくわかりました。
本記事を読んで、個人の市場価値を見出すために資格を取るのもいいですし、役職に早期につけるように転職するのもありでしょう。
また、異業種に転職するのも個人の市場価値を高める上では1つの方法となります。
今一度、将来について考えてみましょう。